『感覚』

『美しい』と思う『感覚』は、誰しもが、持ち合わせているモノだ。

しかし、世の中には『ちょっと、自分は、センスに疎いもんで、、』なんて、謙遜かどうかは、判らないが、言う人が多い。。意見を言う、自信が無いのは解る。でも、人間の能力なんて、、大した差はないのだから、、ちょっと『学ぶ』気持ちを持てば、何でも、ある程度にはなると思う。

右にあるモノと、左にあるモノの。どちらが好きか?を言うのは簡単だ。もし迷ったとしても、テキトーな理由をつけて消去法で選べば良い。そんな簡単な作業も、繰り返し、繰り返し、何百回も、何千回も、続けていくと、何処か、自分の好みや、選択している理由が見えてくるはずだ。

そこには、間違いなんて無く。自分が、何故そう思ったかの『論拠』があれば良いのだ。それに共感してもらえるか?!そんな単純な事なのだ。
そして、そんな事をバカバカしく感じさせてしまう様な、圧倒的な『瞬間』に出会えば、それこそ、自分の想定を超えた、細胞の喜ぶ、本来持っている『感覚』なのだと思う。

つまり、自分の根底にある『美しさ』の『感覚』にはナカナカ巡り会えない。

ある日、もう数え切れない程、経験した、ファッション・ショーのリハーサルを観に出掛けた。まぁ、毎度の仕事だった。。相変わらずのクセの強いメンツ等が、仕切る、緊張感溢れる、面倒な現場、、サラリと問題なく終わってくれれば、それだけで素晴らしい。これが、私の毎度の本音なのだが、、普段通り、客席にシレっと座り、照明の最終調整作業を見ていた。『いつもより、照明が少ないなぁ~』などと、呑気に辺りを見回していると、、照明家の二瓶マサオ氏に見つかった。『どうよ、昌平、、最近は、忙しいのかい、すっかり、現場には、出てこないねぇ~』と、毎度の嫌味を言われつつ、彼はニヤニヤしながら『ちょっと、ショウ明かりに変えるから見るかい?』と言った。そして、一度暗転させ、ショウ明かりを点けた。。不思議な事だ、、隣のジジイはニヤニヤしながら、引き続き、『ご挨拶』の嫌味を続けているのに、、そのショウ明かりを見たら、、目頭が熱くなり、涙が溢れてきた、、モデルも、音楽もない、、照明だけで、、涙が溢れて、もう止まらなかった。。『素晴らしいよ。感動してる、、』これしか言えなかった。何が綺麗か?美しいか?なんて、、全く解らなかった。。隣のジジイは、私の表情に気づいて、黙って、目を見て、頷きながら、私の肩を優しく、二度叩き、、暫し、一緒に照明を見続けてくれたのだった。

昔、二瓶マサオ氏に、出会った頃、彼が経験した、ファッション・ショーが生み出す『一瞬の感動させる力』について、話して頂いた事があり、そんな『瞬間』を作り出したくて、私自身も試行錯誤していたが、、そんな事も、忘れかけていた頃、、正に、その本人に、その『瞬間』を見せられたのだった。

そう、『美しい』なんて、言うのは簡単だ。

しかし、その『瞬間』を生み出すのは、、
選ばれし人間にしか出来ない事なのかもしれない。

8 件のコメント

    • おっしゃる通りなのですが、、実は、、それすら、面倒な日がありますので、、コメント欄を作りました。あはは!

  • どっちが好きかと聞かれ、どっちも同じに見えてしまう。それが、本当にセンスのない人なんです(笑)

    • 確かに、そう言われると、、私も、、おすぎと、ピーコの差が判りません。それはセンスじゃなくて、、『興味』がないからですね!

  • 選ばれし人間のふりをした人が増えたのかな。
    その周りに寄生する人もいる。
    自分は、馬鹿みたいに美しいものは純粋に美しいって感じるだけの人間でいいなー

    • まぁ、余り考え過ぎず、、良いモノに、色々、巡り会えると良いですよね。良いモノは、人に伝えたくなりますしね!

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