『 ~ベトナム旅~ マチェさんと私 』
先日、私はベトナムのCuc Phuong National Parkに虫撮りに行って来た。
いつも通りの一人旅で、初のベトナム上陸である。前日の夜11時にハノイ入りした私は、翌日の朝11時にハノイのホテルからCuc Phuong National Parkまで、車を手配していた。(勿論、朝からハノイで虫撮りをしていたから、11時の移動ですよ。)想像するに、車で片道約3時間だから、多分、東京から静岡位のイメージだろうか、、車以外では、電車やバスという交通手段もあるのだが、時間とコスト、、そして一番大事な、着いたら直ぐ撮影を始める為の体力温存を考えると、当たり前に車を選ぶことになるのだった。
11時5分前からホテルのロビーで車を待ったのだが、11時10分になっても迎えの車は来ない。。昔よく、パリに行くと、シャルルドゴール空港で、早朝、来るはずの迎えが来なかった事を、懐かしく思い出しながら、、若干不安になる。。パリならば、タクシーに乗れば良いのだが、、ここは、、どうしても、バスや電車で移動する気にならないのだ、勿論、タクシーは長距離過ぎて断られる、、思い起こせば、車の手配をCuc Phuong National Parkの人に、お願いしたのはメールで一ヶ月半以上前、、その後、何のリマインドも打たずに、来てしまった。。まぁ、来なければ、宿泊予約も怪しいから、一度Cuc Phuong National Parkに電話してみるか、、などと思いながら、、暇なので、隣の店に、水を買いに行ったり、、タバコを吸ったり、、
11時20分、彼は、片側4車線道路!?をバックで、逆走しながら現れた。
車は手配されていたのである。ひとまず胸を撫で下ろし、ニコニコしながら近づいてくる彼を待つ。『Cuc Phuong?』と聞かれたので『Yes,it’s me!』答えたのだが、『Cuc Phuong?』と再度聞いてくる、、おお、そうか、もっと端的な答えを聞きたいのだな、、私は『クックフォーン!』と答えたのだが、、発音が悪いのか、彼は首を傾げた。何度か、私が『Cuc Phuong National Parkに行くのはオイラだ!』と、英語で伝えるのだが、、彼は理解しない、、ということで、ホテルの人に仲に入ってもらったのだが、やはり私の発音が悪いらしく『クックフォーン』は伝わらないが、ホテルの人は車で3~4時間位掛かる、国立公園に行く車を、私が手配している事は直ぐに通じたので、『あなたは彼のドライバーだ』と伝えてくれた。彼は笑顔でまた『Cuc Phuong?!』と聞く、私は同じアクセントで『クックフォーン!』と答えると、ウンウン頷いた。。(アクセントの何が違うのか?未だ不明、、)
そして、私たちのCuc Phuong National Parkまでの短い旅は始まった。
ハノイの道は恐ろしい、、凄まじい数の原チャリと車が、車線を考えずに、なだれ込み、、鳴り止まないクラクション。。もしかして、ずっと、こんな感じで、混雑が凄まじいから、渋谷~横浜間位の距離なのに3時間掛かるのでは無いだろうか!?などと、疑問が湧いてくる、、まぁ、マップで見る限り、違うのだが、、『なぁー、すげー交通渋滞だなぁ?!いつもこうなの?これはハノイだけ?』と、ドライバーに話しかけてみた。ニコニコしながら、こちらを見たが、返事は無かった。そうか、そうか、、英語は全く通じねーか、、
暫く、渋滞の中を進んでいると、、彼が何か言った。『え?なに??』前の座席に、身を乗り出して、彼に聞くと、自分を指でさしながら『マチェ』と言った。おー、名前か。。『マチェね。俺はショウヘイだ。ショーヘー!』彼はニコニコ頷いたが、、絶対分かっていないし、勿論、覚えてもいない、、そして次の瞬間、また二人の会話は途切れた。。(私も2分後に彼の名を忘れたので、思い出した4分後にアイフォンにメモしたのだ。。)
ハノイを抜けると共に、渋滞は解消し、交通量は激減する。マチェは日本では、全く価格のないボロい車を、スーパーカーの様に、猛烈に、カッ飛ばして行く。事実、私にとっても、クーラーが効くだけで、正にスーパーカーなのだ。。初めて見る、通り過ぎて行く景色の中に、色々な疑問が浮かぶのだが、残念ながら、マチェに聞いても、答えは無いに決まっている。解っていながら、時折、独り言の様に、弱気に色々つぶやいて見るのだが、、勿論、無言の空間に、、一人『だよね~』と、ブツブツ。。しかし、3時間以上、密室に二人、、会話が起きないのは、ナカナカ、苦なものであるなぁ~と、切実に思いながら、外の景色を見つめていると、、マチェが飲みかけのペットボトルの水をこちらに向けながら、何か言ったのである。瞬時に理解できるたのだが『水、飲む?』と聞かれたのだ、、私は、自分の水を見せて、『大丈夫。持ってるから!』と答えた。。冷静に考えて見ると、50過ぎた知らんオッさんのヌルい飲みかけのペットボトルの水を、飲みたいとは思わないが、、彼の、最大の気遣いだったのだろう、、
その後も、普通に、何の会話も無く車は進んで行く、面白い事に、こちらの車はナビが無い。しかも彼らは、地図も見ない。。心配性の私は、勿論、ちょっと不安になるので、時折、GPSで地図と、走っている地点を確かめながら、、我々は、順調に目的地へ進んで行く。ニンビンの手前で高速を降り、田舎道を進む。急に繁華街の様な場所があったり、道路に穀物が大量に干されていたり、、アヒル!?や鴨!?みたいなのが養殖されていたり、、牛が道路を歩いていたり、、色々、面白いのだが、引き続き、我々は終始無言。。
やっとGPSの地図上で、Cuc Phuong National Parkが近づく、、次の角辺りからCuc Phuong National Parkなのだが、、と、身を乗り出して前を見ると、マチェが、『Cuc Phuong!』と指を差し言う、『おー、クックフォーン!』と私も答えるが、、角を曲がっても、只の田舎道で、何も見つからない。『そうか、そうか、、広い国立公園というから、入り口はもっと先なんだな。』と、言いたい数々の言葉達を噛み締め、、そこから15分、不安になる山道を走る。。
↑不安になるでしょ!?
しかし、やっとゲートが現れ、遂に、、Cuc Phuong National Park入り口に到着した。『クックフォーン?』私が聞くと、マチェは『Cuc Phuong!』と予想通りに答えた。
私は車を降り、マチェはトランクの荷物を降ろしてくれた。この我々の過ごした濃密且つ、スッカスカの3時間、、マチェと私の意思の疎通は『水いるか?』『クックフォーン』だけで終わるかと思われたが、そうではなかった。最後に、、彼に私が『ありがとうね。これチップ。』と日本円で五百円位を渡すと、マチェは笑顔で『Thank you! Thank you!』と答えたのだった。
う~~ん。微妙なコミュニケーションだが、、目的地に着いたので良しとしよう。
やはり、この様な経験をすると、、『マチェ君、、君は、もう少し、英語を勉強しなさい!!単語で良いから、何でも話せた方が、面白いだろ?!』なんて、都合良く考えたのだが、、ベトナム行くのに、ちょっと英語が話せるからと、ベトナム語の単語すら、何も調べないで、乗り込む自分こそ、傲慢なのかもしれないと、、急に、反省したのだった、、
続き:https://11documents.com/2018/06/27/column0099/
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